難病で障害年金が受け取れる場合

文責:社会保険労務士 大原啓介

最終更新日:2024年09月02日

1 難病でも障害年金の対象になる

 「難病」とは、発病の機構が明らかではなく、治療法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなる病気をいいます。

 このような難病により、日常生活に困難が生じた場合や、仕事に支障が生じるようになった場合には、障害年金の対象となります。

2 難病特有の事情

⑴ 初診日

 障害年金において初診日は、年金保険料の納付要件をいつの時点で判断するかの基準となり、支給される障害年金が障害基礎年金となるか障害厚生年金となるかを判別する重要な要素になります。

 通常の疾病等の場合には、症状が出て最初に医療機関に受診した時が初診日となります。

 ただ、難病についてはその機序が明らかでないこともあり、確定診断を受けた日や、当該難病の疑いとなった日が初診日となることもあります。

 そのため、申請にあたっては、どのような判断が下されたとしても対応できるように用意しておくことが必要になります。

 

⑵ 等級の認定

 また、障害年金を受給するためには、障害認定日もしくは申請時点において、障害の状態が障害等級に該当することが必要になります。

 そして、認定基準では、難病について、「発病の時期が不定、不詳であり、かつ、発病は緩徐であり、ほとんどの疾患は、臨床症状が複雑多岐にわたっているため、その認定に当たっては、客観的所見に基づいた日常生活能力等の程度を十分考慮して総合的に認定するものとする」とされています。

 そのため、単に難病であるというだけでは障害等級に該当するということはなく、障害等級に該当するためには、日常生活の状況や、病気によって困難になっていることについて医師に伝え、正確な内容の診断書を書いてもらう必要があります。

 また、診断書に関しては、身体の動作等に問題があるのであれば肢体の診断書を選択し、視力等に問題があるのであれば眼の診断書を選択するといったように、症状にあった診断書を作成してもらうことも必要になります。

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