ADHDで障害年金を受け取れる場合

文責:社会保険労務士 大原啓介

最終更新日:2024年09月30日

1 ADHDとは

 ADHDとは、発達障害の一つで、注意欠如多動症とも呼ばれるものです。

 話を集中して聞けない、作業が不正確等の「不注意」や、体を常に動かしたり席に座っていられない、順番を待てないなどの「多動性」「衝動性」の特性がみられます。

 ADHDが原因となって日常生活や就労に支障がある場合があるため、ADHDは障害年金の認定の対象となっています。

2 障害年金を受け取れる場合

 障害年金を申請する場合には、原則として初診日において国民年金もしくは厚生年金に加入していること(ただし、初診日において20歳未満の場合等例外があります。)、初診日の前日において一定程度の年金保険料を納付していること、障害認定日もしくは障害認定日以降に法律の定める等級に該当することが必要になります。

 ADHDを含む発達障害は先天的な病気といわれますが、初診日は出生日ではなく、あくまで「発達障害と因果関係のある症状で初めて医療機関を受診した日」となります。

3 ADHDで障害年金の等級に該当する場合

 認定基準では、発達障害で障害年金の等級に該当する場合として、以下が例示されています。

 1級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの

 2級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの

 3級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限をうけるもの

 参考リンク:日本年金機構・国民年金・厚生年金保険 障害認定基準

 これらの等級に該当するかどうかは、主に医師の診断書から、日常生活能力(適切な食事がとれるかどうか、身辺の清潔保持に問題がないか、金銭管理と買い物に問題がないか、通院と服薬に問題ないか、他人との意思伝達および対人関係に問題ないか、身辺の安全保持及び危機対応に問題がないか、十分な社会性があるかどうか)等を総合的に判断して決めるとされています。

 そのため、ADHDで等級に該当するかどうかについては、日常生活の状況について、実態に即した内容の診断書を作成してもらうことが重要になります。

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