障害年金申請の手続きと流れ
1 受給要件の確認
障害年金を受給するためには、①初診日、②障害の状態、③保険料の納付という3つの要件すべてを満たす必要があります。
このため、障害年金の申請にあたっては、事前に、各要件を満たしているかの確認が必要になります。
⑴ 初診日
障害の原因となった病気や怪我について、初めて医師又は歯科医師の診察を受けた日のことを「初診日」といいます。
障害年金を受給するためには、初診日が、①国民年金または厚生年金保険に加入している期間、または、②20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間のいずれかの間にあることが必要となります。
⑵ 障害の状態
障害年金に関する障害の状態を定める日のことを、「障害認定日」といいます。
障害認定日は、原則として、初診日から1年6か月を経過した日です。
ただし、例外として、初診日から1年6か月が経過する前に傷病が治った日または症状が固定した場合には、その日が障害認定日となります。
また、傷病によっては、その特性に応じて、障害認定日の特例が設けられています。
例えば、咽頭の全部提出手術を受けた方は、手術から1年6か月経過した時点ではなく、咽頭全摘出日が障害認定日となります。
なお、20歳前に初診日がある場合であって、初診日から1年6か月が経過しても20歳に達しない場合には、20歳になった日が障害認定日となります。
障害年金を受給するためには、障害認定日における障害の状態が、国民年金法施行令及び厚生年金保険法施行令の定める障害認定基準に該当する必要があります。
⑶ 納付要件
障害年金を受給するためには、初診日が20歳前である場合を除き、年金保険料を納めている必要があります。
原則として、初診日の前日時点で、初診日のある月の前々月までに、公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていることが必要です。
ただし、初診日が2026年4月1日前にある傷病による障害については、保険料納付要件について経過措置が設けられており、初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料の未納期間がなければ、納付要件を満たすこととされています。
なお、初診日が20歳前である場合であって、障害基礎年金を申請する場合には、納付要件は問題となりません。
2 障害年金申請の流れ
⑴ 年金記録の確認
初診日が20歳前である場合を除き、障害年金の受給には年金保険料の納付が必要となります。
このため、年金事務所や街角の年金相談センターにおいて、年金の加入記録を確認しましょう。
⑵ 初診日の証明
初診日は、障害認定日や納付要件の基準日になるため、証明できなければ障害年金は受給できません。
このため、初診日の証明は非常に重要です。
まず、ご自身の病歴・受診歴を整理し、初診日を確認します。
そのうえで、初診日を証明する書類を用意します。
原則として、初診の医療機関に「受診状況等証明書」を作成してもらい、初診日を証明します。
ただし、医療機関における診療録の保存期間は5年間であるため、最後の受診から5年以上が経過している場合、カルテが破棄されたことにより、初診の医療機関では初診日の証明がもらえないことがあります。
この場合には、受診状況等証明書以外の方法により初診日を証明することができるか検討する必要があるため、一度、弁護士にご相談ください。
⑶ 診断書の作成
障害年金を申請するためには、障害の状態に関する診断書を提出する必要があります。
いつの時点の診断書が必要かは、「認定日請求」、「遡及請求」、「事後重症請求」のいずれかによって異なります。
⑷ 病歴・就労状況等申立書
障害年金を申請するためには、病歴・就労状況等申立書を作成する必要があります。
この書類は、発病から現在までの病歴、通院歴、就労状況、日常生活の様子などをまとめたものであり、申請者(または家族や代理人)が作成する必要があります。
⑸ 年金請求書の提出
診断書、受診状況等証明書等の初診日証明に関する書類、病歴・就労状況等申立書が用意できましたら、住民票と金融機関の通帳のコピーを添付して、年金請求書を提出します。
上記の書類のほか、加算年金・加算対象の家族がいる場合には、戸籍謄本、配偶者の課税証明、子供の収入が確認できる書類、(20歳未満の子供に障害がある場合)子供の診断書などを添付します。
提出先は、障害基礎年金であれば住所地の市区町村役場の窓口(ただし、初診日が国民年金の3号被保険者期間の場合には、年金事務所または街角の年金相談センター)、障害厚生年金であれば、年金事務所または街角の年金相談センターとなります。
⑹ 障害年金の審査
年金請求書を提出すると、日本年金機構の「障害年金センター」において審査が行われます。
審査期間は、概ね3か月から3か月半ですが、もっと短くなることがあれば、長くなることもあります。
3 決定後の流れ
⑴ 障害年金の支給が決定した場合
障害年金の支給が決定した場合、自宅に年金証書が届きます。
障害年金は、偶数月の15日(15日が金融機関の休業日である場合は、その直前の営業日)に、支給月の前月分と前々月分の2か月分が支給されます。
初回の年金が振り込まれる時期は、年金証書が送付されてからおおむね50日以内です。
初回の支給日には、受給権の発生した日(認定日請求であれば、障害認定日)の属する月の翌月分から支給月の前月分までの障害年金が一括で振り込まれます。
⑵ 障害年金が不支給となった場合
障害年金の支給が認められなければ、自宅に却下または不支給の決定通知書が届きます。
この決定に不服がある場合には、審査請求を申し立てることができます。
また、審査請求の結果に不服がある場合には、再審査請求を申し立てることができます。
⑶ 更新
障害年金は、裁定日以降に診断書の提出が必要ない永久認定と、1年から5年のいずれかの時期に再度診断書を提出して再認定を受ける必要がある有期認定に分かれます。
有期認定の場合には、障害状態確認届という診断書の提出が求められます。
⑷ 額改定請求
障害年金を受給した後に障害の程度が悪化した場合には、額改定請求を行うことができます。
額改定請求は、障害年金の受給権を取得した日または「障害の程度の診査」を受けた日から1年を経過した日後に行うことができます。
ただし、障害年金受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合(国民年金法施行規則33条の2の2、厚生年金法施行規則47条の2の2)の場合には、1年を待たずに額改定請求ができます。
4 障害年金の請求は私たちにお任せください
障害年金の請求には、様々な書類を用意する必要がありますが、この申請を当法人にご依頼いただくことができます。
私たちは、障害年金に関する勉強会を定期的に行っており、ノウハウが豊富です。
名古屋にお住まいで障害年金の申請を希望される方は、お気軽にご相談ください。
お役立ち情報
(目次)
- 障害年金を受給するためのポイント
- 障害年金の相談窓口
- 障害年金申請の手続きと流れ
- 障害年金の申請期間
- 障害年金で必要な書類
- 障害年金における初診日
- 障害年金申請で診断書の記載が重要な理由
- 働きながら障害年金を受給できる場合
- 障害年金の種類
- 障害年金の計算方法
- 障害年金の納付要件
- 20歳前傷病の障害年金
- 障害年金受給中に新たな障害が発症した場合の対応方法
- 新型コロナウイルス後遺症と障害年金
- 精神疾患について障害年金が認められる基準
- ADHDで障害年金を受け取れる場合
- 聴力の障害で障害年金が認定される場合
- 脳梗塞で障害年金が受給できる場合
- 高次脳機能障害で障害年金が受け取れる場合
- 肺結核で障害年金を請求する場合のポイント
- 人工関節で障害年金を申請する際のポイント
- ICDで障害年金が受け取れる場合
- 難病で障害年金が受け取れる場合
- 障害年金と生活保護の関係
- 不支給通知が届いた場合
- 障害年金がもらえない理由
- 額改定請求について
- 障害年金の更新に関する注意点
- 精神疾患の障害年金の更新時の注意点
- 障害年金の永久認定
- 障害年金と障害者手帳の違い
- 特別障害者手当
- 障害者手帳について
- 障害者年金
- 社会保険労務士とは
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