働きながら精神疾患で障害認定2級の認定を受けられるかに関するQ&A

文責:社会保険労務士 大原啓介

最終更新日:2021年12月16日

働きながら精神疾患で障害認定2級の認定を受けられるかに関するQ&A

Q精神疾患でも障害年金を受給することができますか?

A

 精神疾患であっても、厚生労働省の障害認定基準に該当する障害であれば、障害年金を受給できます。

 障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などに支障が出るようになった場合に受け取ることができる年金です。

 障害年金について、いわゆる「肢体の障害」、すなわち、視力や四肢の機能を失った方しか対象にならないというイメージを持たれている方も多いかもしれません。

 しかしながら、障害年金の対象には、肢体の障害だけでなく、精神の障害も含まれます。

 障害年金の対象となる「精神の障害」は、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」、「気分(感情)障害」、「症状性を含む器質性精神障害」、「てんかん」、「知的障害」、「発達障害」に区分されます。

Qどのような障害であれば、精神の障害で障害年金2級が認められますか?

A

 精神の障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものであることが必要となります。

 障害年金1級及び2級の障害の程度は、国民年金法施行令別表に定められています。

 同別表2級15号によれば、精神の障害による障害年金2級の要件は、精神の障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものであることとされています。

 精神の障害については、認定に不公平が生じないよう、平成28年9月より、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が運用されています。

 同ガイドラインでは、精神の障害に関する診断書の記載項目である「日常生活能力の程度」の評価(5段階評価)及び「日常生活能力の判定」の評価(4段階評価)の平均を組み合わせたものを、どの障害等級に相当するかの目安としています。

 「日常生活能力の判定」は、⑴適切な食事、⑵身辺の清潔保持、⑶金銭管理と買い物、⑷通院と服薬、⑸他人との意思伝達及び対人関係、⑹身辺の安全保持及び危機対応、⑺社会性について、①「できる」、②「おおむねできるが時には助言は指導を必要とする」、③「助言や指導があればできる」、④「助言や指導をしてもできない若しくは行わない」の4段階評価がなされます。

 たとえば、「日常生活能力の判定」の平均が2.5以上3.0未満かつ「日常生活能力の程度」の評価が3であれば、障害年金は2級または3級が目安となります。

Q働きながら、精神疾患で障害年金2級を受給できますか?

A

 就労していたとしても、障害年金2級を受給できる可能性があります。

 相談者の中には、就労して収入があると障害年金がもらえない、と誤解されている方もおられます。

 しかしながら、実際には、働きながら障害年金を受給されている方は、多くおられます。

令和元年度障害年金受給者実態調査によれば、受給者の34.0%が就労しています。

 精神の障害に係る等級判定のガイドラインでは、総合評価の際に考慮すべき要素として、就労状況に関し、「労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況等を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断する。」としています。

 そのうえで、「相当程度の援助を受けて就労している場合は、それを考慮する。」として、具体例として「就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型)、就労継続支援B型」及び障碍者雇用制度による就労については、1級または2級の可能性を検討する。」、「障害者雇用制度を利用しない一般企業や自営・家族等で就労している場合でも、就労系障害福祉サービスや障害者雇用制度における支援と同程度の援助を受けて就労している場合は、2級の可能性を検討する。」としています。

 上記のとおり、仮に就労していたとしても、相当程度の援助を受けて就労している場合には、精神疾患で障害年金2級を受給できる可能性はあります。

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